vol35号 1999冬号

1999年12月19日発行の冬号からの抜粋です

=== 目次 ===

・1999年しし座流星群観測記(in池の平)

・しし座流星群観望会(山海編)

・しらびそデビュー戦の幸せ

・秋です・しらびそです・3戦3勝です

・EM10赤道儀にシュミカセ鏡筒を搭載することに成功

・カセグレン副鏡の研磨、ヒンドゥルテストそしてマクストフのこと

・使って便利そうな天文用ソフト

・記憶 記録

・ペルセウス座流星群観測レポート

・Topicsちょっとおさらい 流星観測用語

1999年 しし座流星群観測記(in 池の平)



 わずかな晴れ間を見上げる観測隊。
じつは、おでんの食べすぎでおなかが苦しいだけだったりして・・・。
 約1名は、車で熟睡していたため、まだ、寝ぼけた様子。
最近、仕事がかなりきつかったらしい。






1999年11月17日/18日(長野県下伊那郡根羽村池の平)


 8名の参加者は、一日の仕事を終えた後、稲武の「レストラン稲武」に集合。夕食を済ませて外に出ると、空は一面のベタ曇り。結局、朝までこのままという、最悪の天気でした。
 車内で待機するも、天候は回復せず、おでんを食べて、わずかな晴れ間を見上げるが、しし群は飛ばず。参加者の1人が見た一個が唯一の観測でした。
 そして、翌朝は、あの青空の中で、大流星嵐がおこっているとも知らず、眠気をこらえながら帰宅したのでした。
 おまけに、19日の明け方には、HR200以上の出現があったのに、起きることができず、2度がっかり。
 しかし、しし群はまだ来ます。アッシャー氏の予報では、2001年に日本でHR15000とか? 来年は月齢も悪いのでお休みして、しっかりと充電しておきましょう。





 残念ながら、出番のなかった8連カメラ。
写真は、しらびそ高原でのテスト撮影の時のもの。
次回までには、なんとか回転シャッターを完成させたい。

EM10赤道儀に
    シュミットカセ鏡筒を搭載することに成功!!



 凍てつくような冬の夜は、空の透明度も良く天体観察の好機ですね。ふくろうの皆様も星空観察を楽しんでいることと思います。
さて私は、

  ★ 口径20センチのミード製シュミットカセ
  ★ 口径76ミリの高橋製作所(FC76・赤道儀はEM10)

の2台の望遠鏡を所有しておりますが、最近ではどうしても小型の屈折を使用することが多くなっておりました。その理由を考えてみましたところ、単に屈折は小型で取り扱いが容易であるといったことではなく、高橋のドイツ式赤道儀であるEM10は、

  ★ 極軸望遠鏡が入っていて極軸合わせが楽である。
  ★ ドイツ式赤道儀の方が全体に操作性が良い。

と言った理由があると思いました(私の独断にすぎません)。しかし、76ミリの口径ではやはり不満が残るので、EM10に高橋製のMT160かミューロンを乗っけたいとも考えておりました。結果的には、

  ★ ミードシュミットカセを赤道儀からはずしてEM10に乗っけることができるようにすること。

にしました。ミードの望遠鏡は、フォーク式で赤道儀の一部と鏡筒が一体になっているので基本的には取り外すことはできませんが、敢えてそのようにした理由は、現有資材を使うためはとんど費用をかけなくてすむこと、シュミカセは口径の割にコンパクトで重量的には EM10に搭載しても、大きくて重いMT160のようにバランスを崩す心配が少ないこと、さらにカセグレン式はニュートン式のような鏡筒バンドが必要ないため簡単に自作できると思われたこと等によります。この場合の問題点や方法について考えると、

  (1)シュミットカセを赤道儀からうまくはずせるか。
  (2)EM10には傷を付けないこと。
  (3)一般的な、アリガタ・アリミゾ式以外の取り付け方法は考えられないか。
  (4)バランスが悪くなるような不自然な方法を採らないこと。

などに注意することとしました。
 最初にシュミセを赤道儀からはずすことには成功して、取り付け方法についてもアリガタ・アリミゾを使用せず、鏡筒に金属製のブラケットの様なL型金具を取り付けEM10のヘッド部にネジで固定するという簡単な方法に決まりました。L型金具は友人の鉄工所で「酒1本」で作ってもらい強度的にも充分なものができ、工夫をして鏡筒の重心にある耳の部分に取り付けたため、もともと赤道儀に付いていたバランスウェートで問題なくバランスをとることができました。
 実際に使用したところ、自画自賛になりますがベエリーグッドでありました。しかし、アリガタ・アリミゾを使用しないため、取り付けが意外に困難で問題点として残りました。
ここからが本題ですが、初めの方法では

 ★ 左手で鏡筒を支え、ブラケットのネジ穴と赤道儀ヘッド部のネジ穴を合致させてそこに右手を使ってボルト
    をねじ込んで固定する。

方法でした、しかし鏡筒は意外に重くなかなか上手く両方のネジ穴を正確に合わせることができないため時間がかかり、左腕が疲れてしまいボルト止めが困難になってしまったものです。そのためにこそアリガタ・アリミゾ式の存在価値があるわけですが、そこで私が考えついた方法は、

 ★ 六角頭部のない両切りのボルトを用意して、それを赤道儀のヘッドに半分くらいネジ込みます。するとヘッ    ド部に頭のないボルトが二本立った状態になり、そのボルトに左手で持ち上げた鏡筒のブラケット のネジ   穴を通して、すぐにボルトの上部にナットを二個ねじ込みます。この時点で鏡筒が落下する危険はなくなり   ますので、ゆっくりとネジを締めて固定することができます。

 この操作は簡単で短時間にできるので、腕が疲れることはありません。私の感じでは、アリガタ・アリミゾと操作性は変らないものではないかとも思えました。
 以上の方法でEM10にミードの鏡筒を乗せることに成功しましたが、上首尾であったと思えるのは、ほとんど費用をかけなかったことと、赤道儀に対し鏡筒以外の重量的な負担をほとんどかけなかったことです。しかし本当の成功といえるのは、この望遠鏡が観望会等で大活躍をするときですね。

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