ドイツへの手紙
毎年クリスマスが近づいてくると頭を悩ますものがやってくる。ドイツ語でクリスマスカードを書かねばならないのだ。ドイツ日食の時、お世話になったバスの運転手さんと彼のガールフレンドとそのお母さんにクリスマスカードを送るようになって、もう5年になる。少しはドイツ語が上達しても良さそうなのに、現実はどんどん忘れていくばかり。書く内容はあっても、ドイツ語の文章をひねり出すのに四苦八苦の有様。旅行に行く前はあんなに一生懸命にドイツ語をやったのに!おまけに、今年は自分でまとめたドイツ語文法のノートが見つからず、よけいに情けない思いをした。本よりノートの方がわかりやすいので、いつも頼っていたのに。和独・独和辞典と首っ引きで、それでも今年もどうにか数行のドイツ語の文を暮き上げた。もちろん、正確な文章になっている自信なんて無い。ネイティブが適当に補って読んでくれるものと、期待しているだけだ。外国語ってものは、こうも身に付かないものなんでしょうかねえ。
今年は火星の大接近について書いた。しょっぱなから困りますねえ、「超・大接近」なんて、どう表現すればいいんでしょう。しょうがないから「5万7千年間で最も近くに来た」と暮いた(つもり)。向こうの人、何のことかわかってくれるでしょうかねえ。
ちなみに、去年はワールドカップでドイツチームが活躍したことを書いたのだが、辞霊が古くて、ワールドカップもゴールキーパーも載っていない。しょうがないから、そのままドイツ話に直訳して単語を作ったのだが、お母さんのエンダー夫人からの返事は、「あなたの手紙はよくわからなかった。スポーツに興味のない世間知らずで申し訳ない、でもカーンなら知っている。」だった。ダンナには、「そりゃあ、“世界の湯飲み”なんて普通わからんぞ」と言われた。……“門を守る人”もわからなかっただろう。わたしはドイツチームがすごかったと、書けばドイツ人は喜ぶだろうと思ったのだが。今年のNHKテレビドイツ語講座はサッカー用語をやっている。もう一年早くやってほしかった。
外国語に悩むのは向こうも同じ。モニカさん(運転手のロタさんのガールフレンド)は日本語を少し習っているとかで、最初はがんばって日本語で書いてきてくれたので、わたしも日本語とドイツ話の両方で下記送っていた。モニカさんのうまいとは言えない日本語でも、こちらが読めばわかるし、一生懸命に書いてくれた暖かさが伝わってきて嬉しかった。多分、わたしの書く拙いドイツ語も向こうにとって同じだろうと、自信にもなった。しかし、どうやらモ二カさんも日本話を書くのに疲れたようである。ここ何回かはドイツ語だけで届くようになった。
クリスマスカードを送って、程なくしてエンダー夫人からのクリスマスカードが届いた。孫とひ孫が生まれたそうだ。第2次世界大戦経験者としてイラク戦争に心を痛めているとのこと。
モ二カさんからも返事が来た。2002年にいわさきちひろのカレンダーを送ったのだが、その絵を彼女の家とお姉さんの家に額に入れて飾っているそうだ。ダンナと「嬉しいね、気に入ってくれたんだ。送った甲斐あったね。」と、話している。 |